ReGoLith編集部

「おすすめして」で止まっていませんか
店販を伸ばしたいと思い、朝礼で「今月はこの商品をおすすめして」と伝える。それでもスタッフが声をかけないとき、商品知識が足りないとは限りません。「どこから話せばよいか」「断られた後に気まずくならないか」で止まっている可能性もあります。
まず本人に、説明で困る場面を聞いてみてください。商品の特徴を覚える研修と、お客様との会話を練習する時間は、分けて用意できます。ここでは、押し売りになることを心配しているスタッフと、接客の流れを整理する方法を考えます。
商品を出す前に、自宅での一場面を聞く
「髪のお悩みはありますか」だけでは、答えが広くなりがちです。美容室なら「朝、仕上げるときにやりにくいところはありますか」と聞く。エステサロンなら「今のお手入れで、続けにくい手順はありますか」と聞く。実際の生活の場面に寄せると、必要な説明を選びやすくなります。
リクルートの「美容サロン店販調査2025」では、自分に合うケア方法や商品を知りたいというニーズに加え、短時間でのケアや、試してからの購入なども調べています。2025年公表の調査であり、自店のお客様全員に当てはまるものではありませんが、商品の性能だけでなく、使う時間や選び方も聞く手がかりになります。
今のケアに不満がない方や、商品説明を希望しない方に、無理に話題を広げる必要はありません。話を聞いた結果、案内しない判断もできることを、先にスタッフへ伝えておきます。
説明するのは、選ぶために必要なこと
仮に、お客様が「朝のセットに時間をかけられない」と話したとします。そこでいきなり商品名や成分を並べるのではなく、「普段はどのような順番で仕上げていますか」と、今の方法を確認します。使い方の説明だけで足りるなら、まずその方法を伝えます。
商品が選択肢になる場合は、「ご自宅で使えるものもあります。説明してもよろしいですか」と了承を得てから案内します。伝える内容は、選んだ理由、使う場面と手順、容量と税込価格、使用上の注意。効果や使用量はメーカーの表示・説明を確認し、わからないことをその場の推測で埋めないようにします。
スタッフ向けの商品メモも、長い宣伝文より「どんな相談のときに候補になるか」「何を確認してから案内するか」「どう使うか」をそろえる方が、接客中に参照しやすくなります。肌や頭皮の症状を商品の説明だけで判断することは避けます。
「今日は買わない」の後まで練習する
練習では、購入してもらえる会話だけで終えないことが大切です。「まだ家に残っています」「価格を見て考えます」と言われた場面も、二人一組で試します。
返答の例は、「承知しました。今お使いのものもありますので、必要になったときにご相談ください」。そこから値引きや別商品の話を重ねず、通常の接客へ戻ります。断られた理由を聞き出すために、お客様を引き止める必要もありません。
店長は、言い回しが台本どおりかより、相手の返答を待ったか、質問に答えられたか、購入を急がせなかったかを見ます。自然な言葉に直しながら練習した方が、スタッフ自身の接客につなげやすくなります。
一週間後は、売れた数と会話の課題を別に見る
試行する商品を一つ決め、一週間だけ接客後に短く振り返る方法があります。個人が特定できる内容は共有メモに残さず、「使い方を聞かれた」「価格の説明で止まった」「説明は不要と言われた」といった場面を集めます。
売れた数は確認しますが、それだけでスタッフの能力を順位づけしません。担当したお客様や来店目的が違うためです。説明できなかった点が多ければ商品メモを直し、話を始めにくければ最初の質問を練習する。改善する対象を具体的にします。
目指すのは、全員に同じ商品を勧めることではありません。お客様が自分に必要かどうかを判断でき、その判断をスタッフが受け止められる接客です。まずは店長自身が、買わない選択を尊重する対応まで見本として示してみてください。
参考資料
参照確認日:2026-10-25