AI研修の練習用データ、実際の顧客メールを使っていませんか

AIセミナー

ReGoLith編集部 

問い合わせ資料を架空の練習用シートに置き換え、AIのチャット画面で練習する流れを描いた線画

研修当日に、実際のメールを開く前に

AI研修で「普段の仕事を試してみましょう」と言われたとき、手元の問い合わせメールをそのまま貼り付けようとしていませんか。仕事に近い題材は練習しやすい一方、顧客名や連絡先、社内だけで共有している条件まで含まれていることがあります。

操作方法を学ぶ段階なら、実データでなければできない練習は意外と限られます。研修担当者が先に架空の練習用資料を用意しておけば、参加者は入力してよいか迷う時間を減らし、指示の出し方と回答の確認に集中できます。ここでは、問い合わせを整理する演習を例に、教材の作り方を提案します。

名前を消すより、架空の内容から作る

実際のメールから氏名だけを削除しても、店舗名、具体的な日程、注文内容などが残ります。組み合わせによって相手がわかる場合もあるため、「名前がないから問題ない」と判断しないことが大切です。

最初の練習には、業務の流れだけを参考にした架空の文章を使います。例えば「架空の店舗から、商品撮影について相談が来た。希望時期は翌月、撮影点数は未定、見積もりを希望している」という設定です。実在する顧客の案件を言い換えるのではなく、研修のために条件を作り、資料にも「架空の練習用データ」と明記します。

金額や日程を入れる場合も、実際の取引条件から転記しません。練習に必要な項目だけに絞ると、講師もどこを見て回答を評価するか決めやすくなります。

正解を一つにする必要はない。ただ、確認点はそろえる

問い合わせ整理の演習なら、参加者に求める成果物を「依頼内容」「確定している条件」「追加で聞くこと」の三つに分けます。上の例では、撮影の相談であることと翌月を希望していることは読み取れますが、具体的な日付や点数は決まっていません。

AIの回答が、撮影日や予算を勝手に補っていないか。未定の項目を確認事項として残しているか。この二点を教材の確認欄に書いておきます。文章の美しさだけで採点すると、もっともらしい補足を見逃すためです。

講師用には、同じ資料に「書かれている事実」と「書かれていない情報」を整理したメモを付けます。参加者全員が同じ文面を出す必要はありません。必要な内容が抜けず、根拠のない条件が増えていなければ、複数の回答を比較することにも意味があります。

使うサービスとアカウントは、事前に決める

教材を架空にしても、社内で使ってよいサービスかどうかの確認は別に必要です。研修案内には、利用するサービス、会社が指定するアカウント、持参する端末、入力に迷った場合の相談先を載せておきます。参加者が当日それぞれ別のサービスを探す形は避けたいところです。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威2024」解説書では、生成AIに入力する機密情報や個人情報の扱いについて、規約や仕様を確認する重要性が説明されています。これは2024年の資料による基本的な注意点です。個々のサービスの現在の条件を保証するものではないため、利用する環境の最新の説明を担当者が確認します。

この確認を受講者一人ひとりの自己判断に任せず、研修の準備として済ませておくと、演習中の質問にも答えやすくなります。

最初は一件、次に少し難しい一件

教材を大量に用意するより、まず短い問い合わせ一件で、入力から回答の確認まで通してみます。次に「希望日が二つある」「必要な情報が一つ欠けている」など、条件を一つ増やした教材を渡します。どの指示を変えたら整理しやすくなったかを比べられる構成です。

最後に参加者へ、指示文と回答だけでなく、自分で修正した箇所も残してもらいます。「便利だった」という感想から一歩進めて、何を任せられそうで、何を人が確認すべきかを話し合えます。

研修用資料は、ファイル名と本文の両方に練習用と記し、実案件の資料と保存場所を分けます。研修後に実務で使う際は、架空の教材でうまくいったことを、そのまま実データの利用許可とは扱わないようにしてください。次の研修を企画するときは、参加者へ持参資料を求める前に、この一件を準備するところから始めてみてください。

参考資料

参照確認日:2026-10-26

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