AI議事録で「検討中」が「決定」に変わっていませんか

AIセミナー

ReGoLith編集部 

会議テーブルと録音機から、チェック印の決定事項カードと疑問符の確認事項カードへ分ける線画

「検討する」が「実施する」に変わっていないか

会議のメモをAIに渡すと、読みやすい議事録がすぐにできます。ただ、文章が整っているほど見落としやすいのが、まだ決まっていない話です。「来月からできるとよさそう」という意見が「来月から開始する」という決定に変わると、読んだ人は違う前提で動いてしまいます。

AIを議事録に使うなら、まずは文章の美しさより、決定・提案・未確認を分けて残すことを優先してみてください。IPAもAIの活用例として会議録作成や要約作成を挙げていますが、使える用途であることと、その出力を確認せず共有できることは別です。

一度の練習には、短い架空の会議メモで十分

社内研修では、最初から実際の録音を使わなくても練習できます。たとえば「来月は動画を週2本出したい。撮影時間が取れるか担当者が確認する。予算は次回相談する」という架空のメモを用意します。この段階で決まっているのは確認作業であり、週2本の投稿や予算ではありません。

AIには「決定事項、検討中の案、確認が必要な点に分けてください。担当者や期限が書かれていなければ未定としてください。各項目に根拠となる元の文を添え、推測で補わないでください」と指示します。出力の形を決めるだけでなく、情報がないときの扱いも伝えるのが、この練習の要点です。

この指示でも誤りがなくなる保証はありません。元のメモと並べて、どこを直す必要があったかを確かめます。試す人によって結果が違えば、その違いも研修で話し合う材料になります。

担当者と期限は、文章の流れから推測させない

「浅野さんが詳しい」という発言は、「浅野さんが担当する」という合意ではありません。「今週中にできそう」という見通しも、確定した納期とは限りません。名前や日付が出てきた箇所は、本人が引き受けたのか、会議で決まったのかまで元の記録で確認します。

読みやすくするために未定欄を埋めたくなる場面でも、空白を残す方が正確なことがあります。共有前に確認できなければ「担当未定」「期限要確認」と記し、誰がその確認をするかを人が決めます。会議の最後に、決まったことと持ち越すことを参加者で読み合わせる運用も試せます。

議事録から元の発言へ戻れるようにする

要約だけを残すと、後から認識が食い違ったときに確かめる場所がなくなります。録音を利用する運用なら、社内のルールに沿って参加者への説明や保存先・閲覧範囲を確認し、確認に必要な元記録を適切に管理します。録音を使わない場合も、会議メモのどの行を根拠にしたかがわかる形にしておくと照合しやすくなります。

実際の顧客名、社内の金額、未公開の計画を入力する前には、そのAIサービスが社内で利用を認められているか、入力してよい情報の範囲はどこまでかを確認してください。研修用には架空のメモを使い、本番の情報を持ち込む判断と操作練習を分けます。

導入の判断には、直す時間も含める

試行する会議を一種類に絞り、下書きの作成、元記録との照合、修正、共有までにかかった時間を残します。「生成は速いが、決定事項を何度も直す」という状態なら、元のメモの取り方や出力形式を変える余地があります。

デジタル庁の生成AIに関する解説でも、出力をそのまま使わず、人が内容を確認する考え方が示されています。政府向けの運用を企業へ一律に当てはめるものではありませんが、共有前の確認を工程に含める視点は参考になります。

次の会議では、議事録を短くすることより、「何が決まり、何が残っているか」を別の参加者が同じように読み取れるかを見てください。確認込みで負担が減り、未定の事項も正しく残せるなら、その形式を他の会議に広げる判断がしやすくなります。

参考資料

参照確認日:2026-10-23

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